1772年、およそ220年前に、自然界の元素で4番目に発見されたのが「窒素」です。発見者は、イギリスのD・ラザフォード。空気中での容積は、約78%を占める気体です。大気以外でも、タンパク質、アンモニアなどの窒素化合物として、実は自然界にたくさん存在し、生物を介して循環しています。人の中にも体重の約3%ほど含まれています。無色、無味、無臭で原子番号は7番。 酸素のように他のものと化合することがなく、不活性元素と呼ばれていますが、高温高圧においては他の物質と反応し、アンモニアや尿素など化学工業の重要な原料になります。
窒素の利用分野は、アンモニア合成から作られる肥料や様々な化学工業の原料の他、全産業に大きく広がっています。その用途は大別して 2つ。1つは、不活性であるという特性を利用した用途、もう一つは、マイナス196度という液体窒素の持つ低温を利用しようという用途です。
不活性という特徴を利用し需要が拡大しているのが、 ICやLSIなどの半導体の製造分野です。酸化防止の雰囲気ガスとして、また存在してはならない気体を追い出すためのパージガスとして役に立っています。不必要なガスを追い出す際だけでなく、必要な特殊ガスを反応装置の中に運び込む役を担当するキャリヤーガスとしても、窒素は大量に利用されています。
皆さんが、召し上がったファーストフードのハンバーガーパティーは、ガス冷凍技術で凍結され、運ばれてきたのかもしれません。液体になった窒素の温度は “超低温(-196度)”。肉や魚介類を、この超低温で急速凍結すると、細胞を壊さず肉汁の流出を抑えることができ、おいしいものをおいしいままに鮮度保持。全国のうまいものの流通に一役買っています。
窒素の不活性特性を利用した用途は、石油コンビナートやプラント、製鉄所等のシール用や爆発防止といった保安用、また金属・冶金分野の熱処理用の雰囲気ガスにも使われています。また低温利用の用途では、医療分野の輸血用血液の冷凍保存や患部の低温治療、化学品分野の低温粉砕、ゴムのバリ取り、金属加工分野のサブゼロ処理など、今日もその幅を広げています。





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